三谷幸喜作「グッドナイト・スリイプタイト」を観てきました。

 三谷幸喜さんの舞台「グッドナイト・スリイプタイト」を観てきました。中井貴一さんと戸田恵子さんの2人舞台で、きょうが千秋楽。三谷さんの作品は今まで映画ばかりを観てきましたが、舞台を観るのは初めてでした。


 ではストーリーを簡単に。ある男女の30年間に及ぶ夫婦生活が、1つのベッドルームを舞台に繰り広げられていきます。ただ、時間軸が組み替えられており、舞台のはじまりは結婚生活の終わり。場面が切り替わるごとに、その10年前、20年前、10年後、5年後(正確には覚えてませんが…)というように、時間の流れが刻々と変化していきます。部屋に置かれた2台のベッドの配置が近づいたり遠ざかったりして、その距離で2人の心の距離感を表現し、同時に時の流れも表していました。
 幸せな結婚生活、その中で起こるちょっとしたいざこざ、ペットの死、夫の不倫…… と、内容自体はシンプルで現実的。とはいえ、中井さんと戸田さんの掛け合いは息がぴったり。アドリブもあったみたいで、さすが千秋楽といった感じでした。


 舞台なんて久々に観ましたが、少し疑問に思ったことが。S席9000円って、どうなんでしょうか。(A席でも7500円) 僕の感覚では、ちょっと高いんじゃないの?という感じです。すべての舞台、ステージがこの価格帯というわけではもちろんありませんが、1席1万円を超えるものも多いですよね。
 たとえば毎週のように舞台を観ようとしたら、9000円×4回で月に3万6千円。趣味の域を超えた額のような気もしますし、お財布が寂しいときなどは簡単には手に入れられない。映画の1800円も高いと感じるくらいなので(つまらないときは特に!)、僕の感覚がおかしいのでしょうか……


 三谷さんが手掛けた映画作品では、製作された順から「12人の優しい日本人」「ラヂオの時間」「みんなのいえ」「笑の大学」「THE有頂天ホテル」「ザ・マジックアワー」を観ました。ぼくが1番好きなのは「みんなのいえ」です。あのほのぼのした雰囲気と観終わった後の清々しさは、他のどの作品も適いません。「笑の大学」は映像で舞台を観たことがありますが、あれも良かったですね。今後も注目の表現者の1人です。

「マッチポイント」(2005年、英国)

 ウディ・アレン監督の作品はまだほとんど見たことがなく、「スコルピオンの恋まじない」とこの作品だけなんです。両方ともBSにて。
 舞台はイギリスのロンドン。アレン監督にとってロンドンで撮影するのは初めてなんだそうです。73歳になっても初めてのことにチャレンジできる姿勢は、尊敬に値します。
 「マッチポイント」とはスポーツの試合などで、勝敗が決まる最後の得点のこと。テニスの中継などでよく耳にしますよね。


 ストーリーを簡単に説明すると、元プロテニス選手が友人の妹と結婚することになるのですが、浮気相手が妊娠してしまい、てんやわんやになってしまうお話。映画のクライマックスで主人公が重大な犯罪を犯すのですが、そこからどう展開するのか、ドキドキしながら最後まで見入ってしまいました。
 アレン監督は2005年のアカデミー脚本賞にノミネートされました。脚本も素晴らしいと思うけど、ロンドンやイギリス郊外の美しい建物や風景がとっても印象に残りました。歴史を感じさせるイギリスの建物は、見ていて圧倒されるばかりです。行ってみたいなあ…。


 最後のシーンで主人公が見せる複雑な表情が、罪の意識を背負って生き続けなければならない彼の人生を、うまく表現しているなーと感じました。ユーモアに富んだ台詞の数々、見るものを飽きさせないスピード感、官能的な女優の起用−。まだ2本しかアレン監督作品を見ていませんが、彼のそんな特徴を感じました。


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韓国3泊4日ツアーに行ってきました。

今まで行ったことがなかった韓国の首都、ソウルに行ってきました。
3泊4日で3万円台の激安ツアー。市内観光つき。いろいろ込みで5万円くらいにはなりましたが。時期は12月初旬。気候は日本の寒い冬くらいでしたね。最後の日だけ寒波が襲ってきて、氷点下まで気温が下がって寒かったなあ。韓国の通貨であるウォンがだいぶ安く、今なら一時期の半額ほどで買い物や食事ができます。

それでは、写真(21枚)とちょっとした解説を。


1.宿泊した「ニュー国際ホテル」。建物は古かったですが、内装はまずまず。及第といったところです。



2.ホテルの近くにある「ロッテホテル」の前にある電飾。雪が降っているような演出がされていましたが、ちょっと雑かな。



3.韓国の代表的な焼酎「チャミスル」。セブンイレブンで1350ウォンで売っていました。100円以下。やすっ。日本で買うと、もっともっと高くなります。



4.おかゆ屋さんで早速でてきたキムチ。韓国では、食事を注文するとキムチが自動的にでてきます。おかわり自由。すごいシステム。



5.カフェの入り口付近にあったパンコーナー。コーヒーを注文すると、パンも食べ放題になるらしい。これもうれしいシステム。



6.ビビンバを食べたレストランの裏手にあった、キムチの山。こうやって見ると、なんかエグイ。



7.そのレストランの石焼ビビンバ。美味。



8.兵役のある韓国。ビビンバレストランの近くで、なにやら不穏な動きをしていた兵士たち。日本は兵役がなくていいなー。



9.歴史が学べる「統一展望台」から見た、北朝鮮(!) こんなに簡単に見られるとは思いませんでした。望遠鏡を使うと、北朝鮮領でテクテク歩いている農民のような人を確認することができました。ただ、ここから見える北朝鮮は、だいぶ演出されているとか。板門店(はんもんてん)まで行けば、南北を分けている38度線のすぐ近くまで行くことはできます。
統一展望台で見ることができるビデオは、北の指導者「金正日」を呼び捨てにし、「北朝鮮の住民は洗脳教育を受けている」「われわれの努力に北は応じないが、今後も努力していく」といったことが淡々と説明されていて少し衝撃を受けました。



10.仁寺洞(インサドン)通りにあるスタバ。ハングルの看板がちょっとかわいい。



11.おでんの屋台などが多いソウル。裏側から撮ってみました。



12.海鮮チゲ。



13.徳寿宮(トクスグン)にあるとても大きな門。歴史がある。



14.韓国のコメディーショー「NANTA」(ナンタ)がはじまる直前の写真。知り合いにチケットを頼んだら、席が2列目でびっくりした。料理を題材にしたパフォーマンスショー。あまり期待していなかった分、すごく楽しめました。



15.朝ごはんに食べた、「プゴクッチプ・ドジュンコル」というお店の干しダラスープ。これはウマかったなー。朝ごはんにピッタリ。このお店、メニューはこれだけなんです。韓国ではいろいろなものを出すよりも、1品に力を入れたお店が評価されるらしいです。



16.コピー大国を象徴する1枚。有名ブランドの財布などが1つ1000円ほどで売られています。「ニーセモーノでーす」という売り子さんの掛け声には、ただただ閉口。



17.南大門(ナンデムン)にある行列のできていた肉まん屋さん。関西風に言うと「豚まん」。手作りながら、大量生産です。お客さんも5個10個20個と大量注文していました。出来たてということもあり、美味。回りの皮が薄くて、豚肉がたっぷり入っていました。



18.ホルモンの焼肉屋さん「良味屋」のカルビ。



19.と、ホルモン。これはミノです。焼肉は有無を言わさず美味です。お肉はお店の方が焼いてくれます。大きなお肉を炭火で焼いて、頃合いを見計らってハサミでジョキジョキ。食べやすい大きさに切ってくれます。2人でお腹いっぱい食べて6千円いかなかったな…。ウォン安でよかったーー。



20.「o`sulloc tea house」(オソルロッ・ティー・ハウス)のデザートセットと抹茶ミルク。落ち着いた内装で雰囲気のいいお店で、地元のオシャレさんとかも多く来店されていました。



21.「百済参鶏湯」(ペクチェ・サムゲタン)のサムゲタン(鶏肉のスープ)。ニワトリが丸々1匹入っていて、お腹にはご飯や具が入っている。食べ応え満天ですね。これは黒い「烏骨鶏(うこっけい)」で、普通のニワトリよりちょっとだけ高い。朝鮮人参のお酒も食前に1杯飲めます。


<総評>
韓国は初心者でしたが、ウォン安の今は超オススメです。ご飯は安くておいしいものばかりだし、免税店で買い物をするときに必要な米ドルも今は安い。12月はセール中みたいで、特に安かったです。奥さんは話題のBBクリームや口紅などの消耗品を買いだめしていましたが、日本で同じものを買うよりもカナリ安いと言っていました。大量に買う人なら、それだけでツアー代金くらい浮くのではないでしょうか。

ただ、1月や2月の韓国は寒くて観光どころではないと聞きました。ベストシーズンは春や秋ということなので、春までウォン安が続いていたら行くべきですね。

最後に、役に立ったガイドブックをご紹介して終わりにします。
12月に発売されたばかりの「るるぶソウル」。ソウルに特化した内容で、初心者には最適。これに載っていたお店は、おいしいところが多かったです。

嵐山吉兆でご飯を食べてきました。

先日、京都の料亭「京都吉兆 嵐山本店」でご飯をいただいてきました。
笑うくらい値段は高かったけど、素材の味を十分に引き出したお料理はどれも魅力的でした。
お料理の名前などはほとんど覚えていませんので、写真をざざざっとご紹介していきます。

1.入り口の表札。どこか威厳を放っていそうな雰囲気。

2.1階のお部屋にある掛け軸。鹿の表情もどこかしら気品が漂う。

3.照明。和紙を通して、暖かな光がこぼれる。

4.ふすまの上の欄間(らんま)。かわいい鹿の彫り物。

5.お部屋の一角につり下げられたおめでたそうなもの。お正月のお清めに使うものらしい。

6.お香。お部屋に入るときに、テーブルの上に置いてありました。

7.一品目。きゅうりとだいこんとにこごりなど。右下はカラスミとカブ。

8.カニ汁とノリ。

9.タイ(たぶん)のお刺身。
たれは2種類あり、左はアンキモ、右は…醤油?

10.トロとイカのお刺身。イカにはゴマをつけてもよろしいお味。

11.ゆでたカニ

12.そのカニを炭火で暖めると、甘みが増しました。

13.フィンガーボウルの代わりに、これで手についたカニの匂いを消します。

14.オリジナルの日本酒。辛口でお料理によく合います。

15.漆塗りのテーブルに写った、天井の照明。

16.メインのお造り盛り合わせ。豪華な演出。

17.1人分ずつ取り分けてくれます。

18.お魚。焼いた銀杏がこんなにおいしいとは…

19.煮物。

20.炊き込みご飯。鴨肉付き。そろそろ「締め」です。

21.白米。勢い余ってほとんど食べてしまい、慌てて撮影。甘みがある。

22.洋ナシ、柿、メロン、ラズベリー、イチゴ、ブドウ。お店の方によると、「1つ1つが驚くほどの値段」。

23.栗のお菓子。

24.昆布茶。塩が入っていて、後味スッキリ。


<おわりに>
2時間半ほどかけてゆっくりとご飯をいただきましたが、女将のお気遣いやお店の方の丁寧な受け答えには、高いホスピタリティを感じました。この「嵐山吉兆」だけは一見さんでもOKなんだそうです。

炊き込みご飯と白米はお持ち帰りを勧めていただき、遠慮せずにおみやげとしていただいてきました。

昆布やしば漬けなども入れていただいて、次の日のおいしい朝ごはんになりました。

今回は奥さんのご両親に誘っていただき、4人で行ったのですが、夫婦2人だけで行くにはまだ敷居が高い気がしました。(もちろんお値段も)
うちの両親とも、1度くらいは来てみたいなー。

<参考サイト>
嵐山吉兆
http://www.kitcho.com/kyoto/tenpo/arasiyama.htm

(以下、食べログ用リンク)

京都 吉兆 嵐山本店 (きっちょう) (懐石料理 / 嵐山)
★★★★ 4.0

「リダクテッド 真実の価値」(原題: Redacted)【2007年、米国】

「問題作」と形容される映画は多いですが、これこそ本物の問題作です。雑誌「ぴあ」によると、「米国公開時にはアメリ保守系メディアの大手FOXニュースが上映拒否運動を展開し、ネット上には本作に対する誹謗中傷が殺到。非常に小規模な興行で終わった」と言います。

政府関係者や保守系メディアにはこの「フィクション」が耐え難い「現実」だということが、皮肉にも浮き彫りになった形です。国をあげて「くさいものにフタ」をしたことになりますが、ネット上でも同じような意見しか出なかったのでしょうか…。

現在も続くイラク戦争におけるアメリカの負の部分を描いたこの作品は、米国政府やマスコミが都合の悪いニュースや情報を削除(リダクト)することを、痛烈に批判しています。

「これは事実に基づいたフィクションだ」という前置き通り、背景になるのは2006年3月にイラクバグダッドで実際に起きた、米兵による14歳の少女のレイプ殺人事件。1人の米兵による内部映像という演出を使い、レイプ事件に至るまでの経緯と事後を、多少荒っぽく進行させていきます。

ヘンデル作曲の「サラバンド」が映画の序盤で効果的に使われ、兵士たちの緊張と疲弊感をうまく表しています。

監督のブライアン・デ・パルマ氏は、68歳。トム・クルーズ主演の「ミッション・インポッシブル」の監督でもある方なんですが、この歳にしてこんな攻撃的な作品がつくれるのは「すごい」の一言。

映画の最後は、イラク戦争で亡くなった被害者の写真のスライド。これが結構、胃にグッときます。衝撃的な場面を見たくない方は、目をつぶっていたほうがいいです。そして、観客に問題を突きつけるように無音で流れるエンドクレジット。キャストやスタッフの名前を見て、この映画がフィクションであるということに改めて気付かされます。功名に作られた、擬似ドキュメンタリー映画。パンフレットに書かれていた、「ブッシュ政権の暗黒部分が暴かれたとき、この映画が正当に評価される」という監督の言葉が、とても印象的でした。

<参考サイト>
「リダクテッド」日本語版公式サイト
http://www.cinemacafe.net/official/redacted/

ブライアン・デ・パルマを直撃!新作『リダクテッド』で使用した禁断の映像」(Cinema Todayより)
http://cinematoday.jp/page/N0012850

「アクロス・ザ・ユニバース」(DVD)

9月の日記にも書きましたが、ビートルズの楽曲をふんだんに使った青春映画「アクロス・ザ・ユニバース」のDVDの発売予定日が早くも決まりました!12月19日だそうです。早速、アマゾンで注文してしまった…(笑)

ビートルズの曲をうまくストーリーに合わせて使っていて、歌詞もほとんど変えていないのに、曲の持つ意味合いを全く変えてしまう手法はすごいです。「抱きしめたい」(I wanna hold your hand)が男から女への思いでなく、好きな女性に対する女の子の切ない思いになっていたり、「ヘイ・ジュード」(Hey Jude)が父親から息子へではなく、親友に対する励ましの歌になっていたり。
ビートルズの歌が好きでこの映画を見ないのは、損です。(26%割引もありがたい☆)

このDVDの発売に合わせたわけではないでしょうが、ポール・マッカートニーが未発表曲Carnival of Light(原題)のリリースを示唆したようです。

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「マッカートニー、ビートルズの未発表曲リリースの可能性示唆」(ロイターの記事)
http://jp.reuters.com/article/entertainmentNews/idJPJAPAN-34965320081118

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ビートルズ解散後はジョン・レノンの未発表曲Free As A BirdやReal Loveが発表されましたが、こちらも楽しみだなぁ。

「ホテル・ルワンダ」(2004年、英国・イタリア・南アフリカ合衆国合作)

アフリカ中部のルワンダで1994年に起こった民族間の虐殺と、そのときに追われた人々を1000人以上もかくまった1人のホテル支配人を描いた、実話に基づいたストーリー。2004年に製作され、米アカデミー賞ゴールデングローブ賞にノミネート。日本では2006年に公開されました。

ツチ族」と「フツ族」。新聞やニュースで見聞きしたことはあったけど、実際に彼らがどのような関係なのかは映画を観るまでよく分かりませんでした。映画の中では、彼らは友人同士であり、ときには人生をともに歩くと決めた配偶者でもあります。でも、当時のツチ族の中には過激派がいて、彼らはフツ族を抹殺しようとします。いや、正しくは「しようとする」のではなく、実際に殺していくのです。

数百人、数千人ではなく、数十万人も。
映画の後半、ホテル支配人の家族が危険にさらされた場面では、予想外に号泣してしまいました…。

アイヌ日本国籍を持った外国出身者など、日本にも多くの民族が住んでいます。沖縄出身者の中には、自分が日本人ではないと思っている人もいるくらい。そういうことを考えると、日本も多民族国家と言えますよね。

民族間の争いは、いつの時代でもどこの国でも起こりうる。人は他人とのちょっとした差に優越感や劣等感を感じ、それによって差別してしまう生き物だから。でも、そこから目を背けるのではなく、身近な問題ととらえてしっかりと自分のスタンスを維持しておく。その教材としては、もってこいの映画なのではないでしょうか。

いつもお気楽な映画を観てニタニタしているけど、たまにはこういう重いのもいいもんですね。


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