ハーゲンダッツはイチローでいてほしい。

最近、ハーゲンダッツ・ブルーベリーチーズケーキのテレビCMをよく見る。このご時勢であんなにたくさんの(しかも単価の高いだろう時間帯で)CMを流せるってことは、たくさん商品が売れているということですので、不景気の中にも好景気ありです。

ハーゲンダッツ・バニラを初めて食べたときのあの感動は、今でも忘れません。小学生のころ、奮発して250円も出してハーゲンダッツを買い、小さなプラスチックのふたを開け、あれ?まだ出てこないってなってビニールのふたをもう1枚開け、ハーゲンダッツ用の白いプラスチックのスプーンで、少しだけすくった白くて冷たい塊を口に入れたとき、舌に濃厚なミルクの風味を感じ、溶けたアイスの匂いが鼻を通り抜けていくとき、とっても甘い香りが広がる。「おおー」って、口に出して言った記憶もあります。

それ以来、多くの方と同様にハーゲンダッツのトリコになってしまったのですが、納得できない部分もあるのです。それが上に挙げたブルーベリーチーズケーキであり、ティラミスであり、モンブランであるわけです。アイスクリームという、日常にありふれた、お馴染みの、コンビニの冷凍庫に山になっている砂糖の加工品の中で、ハーゲンダッツは異色を放っていなければならないと思うのです。1つくらい、そうあってほしいな、と。

少なくとも、バニラ、グリーンティー、アズキミルクは、そういうオーラがあります。でも、ブルーベリーチーズケーキやティラミスやモンブランを食べたときは、「へえ」という感想でした。がっかりはしないけど、ありふれている感じ。きっと素材の良さは変わらないのだろうけど、素材や質の良さは、シンプルであるほど分かりやすいのであって、それらが混ざり合うと、とたんに分かりづらくなってしまうんです。

味にこだわるからこそ、素材はシンプルでいてほしい。それがぼくにとっての、ハーゲンダッツの理想像なのです。奇をてらうことなく、シンプルさを追求し、いつまでも自信満々で堂々としていてほしい。打席の中のイチローのように。